今週のお題「好きな小説」
最近気に入ってる小説は廣島玲子作「十年屋」です。
魔法使い「十年屋」の店をさまざまな人が訪れる物語。
自分の寿命1年と引き換えに10年預けたいものありますか?
「十年屋」では、自分の寿命1年と引き換えに10年間預けたいものを預けることができます。
魔法によってその10年間、預けたものは変化することはありません。
永遠ではなく10年、というのがユニークですよね。
しかもその対価は自分の寿命1年分。
決して安くはない、というよりかなり高いんじゃないでしょうか?
自分の寿命が1年短くなっても10年後まで預かってほしいもの、なんてなかなかないでしょう。
少なくとも私にはそんな価値のあるものがあるなんてまったく思いつきません。
どんな人がどんなものを預けに来るのか。
まったく予想がつかないところが、この物語に引き込まれる一番の魅力だと思います。
良い人には良い報い、悪い人には悪い報い
子供向けの本なので、基本的に良い人には良い報いが、悪い人には悪い報いが訪れます。
すっきりとした後味です。
廣島玲子の作品には人の欲望を叶えるふしぎ駄菓子屋シリーズもありますが、「十年屋」シリーズのほうが断然後味が良い。
人が持つ欲望って他人からみたら美しくないものですからね。
待ち時間の暇つぶしに最適
文字が大きいので読みやすく、1時間ほどで読み終わるので病院などの待ち時間に読むのにぴったり。
短い物語がいくつか入っているので、呼ばれそうになったら区切りのいいところで一休みもできます。
でもたいていは次の物語が気になって読み始めちゃいます。
唯一の難点はすぐ読み終わっちゃうこと
唯一かつ最大の難点はすぐに読み終わってしまうことです。
病院が込んでいて待ち時間が長くなると、呼ばれる前に1冊全部読み終わっちゃうことも・・・
検査で時間がかかりそうなときは、2冊持って行ったこともあります。
さすがにハードカバー2冊持って歩くとちょっと重いです。
十年屋シリーズは「十年屋」を主人公にした物語のほかに、魔法街の住人たちが主人公の番外編もあります。
終わってしまうと待ち時間に読むものがなくなるので、永遠に続いてほしいシリーズです。